【連載小説】 狙われた女  34話

 

 

木曜日は、朝から大変だった。

 

 

30分刻みで配送があり、

目がまわる忙しさだった。

 

 

それでも、だんだん家らしくなってきた。

 

午後にはテレビも届いて

私は疲れが吹き飛ぶぐらい感動していた。

 

 

「大きい、スゴイー!」

 

 

テレビ台に置くと、

高さは、私の身長と変わらなかった、

そして横幅は、リビングの壁とほぼ同じ大きさだった。

 

 

「ダメだ。テレビが恋人だ。もう、これでイイ。」

 

 

私は、テレビの電源を入れるのも忘れて、

ただその大きさに満足していた。

そうだ、平良さんに連絡しよう。

 

 
ピンポ~ン、ピンポ~ン。

 

 

「は~い、平良さん、いらっしゃーい。」

 

 

「来たよ、マイさん。

はい、これお祝い。赤ワインだぞー。」

 

 

「うれしいー、赤ワイン大好きなんです、

ありがとうございます。まだ、料理はできないんで、

お寿司をとりました。」

 

 

「いいよ、いいよ気にしないで。

マンションを見るのも目的だったから。」

 

 

「平良さん、これみてー、ジャーン。

80型のテレビ買っちゃいました。」

 

 

「うわー、デカイねこれ。

電気屋さんで見るのと全然違うなー。

やっぱり、おうちに設置すると大きいよ。」

 

 

「でしょー、これ、私の夢だったんです。

これも、平良さんのおかげです。」

 

 

「ん? もしかしてあれは、外付けHDDじゃない?」

 

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