【連載小説】 狙われた女  20話

 

 

通帳を開いて、エイ!

 

 
振込 タカラクジトウセンキン 12,000,000

 

 

ほーら、やっぱり、当たってる。

 

なんだ、別に動揺しないな。120万円か。

前よりは、ちょっと、少ないけど、でもスゴイ。

 

なんだか、金銭感覚が変になってる。

120万円って、私の年収の半分ぐらいだ。

ふー、あまり、ドキドキして、ちょっと疲れたよ。

 
ふとテレビのほうを見ると、

また、赤いランプが二つ点いていた。

うそー、また、録画してる。

 

さすがに、気味が悪くなったので、無視することにした。

 

プチッ。

 

その音とともに、テレビのスイッチが入った。

 

え?なんで、なんで。

 

いつものように、モザイク画像が反転して、

男の顔になった。

このあいだの人、だ。

彼はあの笑顔で、おめでとうと私の心に語りかけてきた。

 

「ありがとうございます。」

 

「あと、いくら、欲しい?」

 

え?そんな、どうして、私に・・。

 

「まあ、いいから、いまのうちにもらっておいて。

とりあえず、次の番号だ。イイ?」

 

「あ、あ、はい。」

 

「3・1・5・2」

 

「3152ですね。」

 

「うんそうだよ。じゃあね。また来るよ。」

 

映像が消えたのと同時にテレビのスイッチも切れた。

 

これは、おかしい。

さすがに変だ。

神様のプレゼントなんかじゃないよコレ。

 

あの人はいったい誰なんだ?

なぜ、私に、宝くじの情報をくれるの?

どうして、当たり番号が分かるの?

 

今頃になって、気味が悪くなった。

我ながら、ニブイ。

 

通帳を眺めても今回もちゃんと振り込まれている、

これは、すべて現実なんだ。

 

ふー、120万かー。

 

アレ? 

 

いち、じゅう、ひゃく、せん、まん、じゅうまん、ひゃ、ひゃくまん、

い、い、1200万だーーー!

 

ゼロひとつ間違えてたー。

1200万だーーー!

 

ダメだ。頭がおかしくなる。

 

私の口座には、この一週間で、

1620万円のお金が

宝くじの当選金として振り込まれていた。

 

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