【連載小説】 狙われた女  11話

 

 

金曜日がきた。

よし、いつかは、分かることなんだ。

心を決めよう。

 

通帳を握り締めて銀行へ向かった。

 

週末のお昼休みということで、

ATMのコーナーは10人ほどの人が並んでいた。

 

あれ? あそこの機械は、あいてるけど・・。

 

そうか、記帳専用の機械なんだ。

もう、さっさと、終わらしちゃいましょう。

私は、その機械に通帳を入れた。

 

ジィー、ジィージィー、ジィージィ、ジィー

 

オイオイ、記帳してるよー。

マジィー。

 

なんか、結構、時間かかるんですけど。

 

「通帳をお取りください。」

 

出てきた。ついに、だ。

 

「あ、ゴメンなさい。」

 

通帳に、気が行き過ぎて、

振り返った時に、

後ろに居た人とぶつかってしまった。

落ち着いてー。

 

はぁー、見るぞ!

 

その時の、私の顔は、恐ろしかったに違いない。

目を皿のようにして、一字一字を確かめていた。

 

アラ?

 

電気料金、ガス、水道代、NHK,電話料金、

って、全部生活費の引き落としじゃない。

 

なんだ、それで、たくさん、記帳してたんだ。

やっぱり、ダメか。

 

通帳は、そのページで記帳が終わっていた。

やっぱり、いたずらだったのね。(千円損したー)

そう思って、なにげに、次のページを開いた。

 

 
振込 タカラクジトウセンキン 4,200,000

 

 
頭の中が、真っ白になった。

 

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