【連載小説】  第5霊人  65話

 

 

今日は、退院の日だ。

いよいよ、親子としての人生が始まる。

 

しかし、中身は女房とわかってても、

まったく、別人のお嬢さんだもんなぁ。

どうするかな。赤ちゃんらしくできるかな。

 

あ! 急におしっこしたくなった。

わ!我慢できないー。

 

ジョー。

 

やってしまった。

ゲッ、気持ち悪いー。とりあえず、泣こうっと。

 

おぎゃー、おぎゃー、おぎゃー。

 

「あれー、シンちゃん、おむつかなー?

やっぱりそうだ。おちっこでちたねー。

お着替えしましょうねー。」

 

案外こっちで考えなくても、体にまかせればいいみたいだな。

 

それにしても、いつまで、この記憶は残るんだろう。

彼女のためにも、早く消えてくれないかな。

 

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