【連載小説】  第5霊人  55話

 

 

生まれ変わると、しばらくは、向こうの記憶が残っている。

まだ精神と肉体がうまく繋がっていない感じだ。

 

肉体的に未熟なので、疲れてすぐに寝てしまう。

生きているのか、まだ、霊人界にいるのか、

どっちかというと、夢の中にいるみたいだ。

 

「あなたー。あなたー。私がわかりますか?」

 

お?女房の声だ。

これは、どこから聞こえるんだ?

 

「聞こえるよー。おまえ今、どこにいるんだー?」

 

「私は、ここです、すぐそばです。」

 

「えー? わからないよ。いったい、どこに、いるんだ?」

 

「今、あなたを抱いています。」

 

「どういうこと?」

 

あなたを産んだ女性が、今の、私です。

 

「なんだって、それじゃ、

私は、お前の子供として生まれ変わったのか?」

 

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